音楽は人間にしかないものだ。コミュニケーションの結果として人間から見て「歌っている」と思わせる生物はいるが、心を震わせるために奏でている生物はいない。

 人間にとっての音楽も発祥はコミュニケーションの手段だったといえる。
 が、今や音楽は心を震わせるために存在している。

 このサイトで主に取り上げられる「ロック」は衝動性とか感情表現のツールとして有能で、「音」だけでも十分伝える力がある。
 むしろ主役は楽器アンサンブルの「音」だ。
 
 HIPHOPの主は言葉。専門用語でリリック。
 通常ラップはDJが複数の楽器の音を重ねた「トラック」をバックに歌われる。

 が、そんな常識を覆し、新しいスタイルで日本のシーンの扉を開け続けるアーティスト。
 今回は歌詞多め。文字多め。

 伝われ。俺達のリアル。

MOROHA

 2008年結成。舞台上に鎮座するアコースティックギターの”UK”と、汗に染まるTシャツを纏いマイクに喰らいつくMCの”アフロ”からなる二人組。

 多分バンドじゃこの音楽は伝わらない。

 MCアフロの歌詞を届かせる、音楽に変換するのがUKの仕事だと公言している。
 音楽が表現というアートだと再認識する。

 MOROHA「三文銭」MVから本編の曲ではなく後半のMCを引用。

俺さ 思うんだよね
ぶっ飛んでるやつなんか何にも凄くないと思うんだよね
イカれてるやつなんか何にも凄くないと思うんだよね
シド・ヴィシャスもカート・コバーンも人生半ばで死んだヘタレじゃねぇか
俺たちは真っ当は真っ当なりに 職場の上司も殴れずに
バイトのブッチも出来ずに 今日の昼飯代を考えて
目の前の人を好きだって言って 告白するときは足震えて

自分に可能性があんのか出来んのかどうか
迷いながら 迷いながら 迷いながら 迷った結果 踏み出す一歩が
俺はロックンロールだと 俺はヒップホップだと パンクロックだと思うんだよね

 言葉が厚すぎる。
 UKが奏でるギターの美しさで泣いて、アフロの歌詞で泣いて、MCで泣かせる3本立て。

 本編で泣かせてるから響くMC。
 曲を聴かずにこの文字だけ読んでもきっと1/3も伝わらない。
 「そうだね」と共感しても共感の深さが違う。
 是非頭からケツまで通して聴いてほしい。

メジャーデビュー

 2010年のサマソニの出演オーディションにて、サニーデイサービス曽我部恵一に「存在そのものが”事件”だ」と言わしめ、曽我部恵一主宰のROSE RECORDより音源をリリース。
 2018年6月6日に『MOROHA BEST 〜十年再録〜』をPerfumeや福山雅治を擁する<ユニバーサル・シグマ>からリリースしメジャーデビュー。

 茶の間の胸ぐらをつかんで、MOROHAのライヴ会場に引きずり込みたいと。
 アンテナをはってる音楽好きにしか出会えなかった状況からライトリスナーやオヤジ世代にまでアプローチしたいMOROHA。

 歌詞が表示されるリリックビデオなので是非イヤホンで聴きながら見て欲しいが、なかなかできない人のために引用。俺はこのフレーズがとても染みる。

今まで恥ずかしかった事
・夢や希望 真顔で語った事
・あいつ痛い寒いと言われた事
・身の程を知れって言われた事
何より恥ずかしかった事
・それを恥ずかしいと思った事

馬鹿にされない位に馬鹿になりたいよ

 MOROHAは“なんとなく”曲が過ぎ去ることがない。
 “おまえはどうなんだ”ということを無意識に突きつけてくる。

 ロックよりずっと刺激が強い。
 大人になればなるほど染みる。
 「そんなことない!俺はそんな小さくない!」って人もいるかもしれない。

 でも大多数はこんな小さい事を感じながら悩みながら暗い所歩いたり明るい所求めたりしながら歩いている。
 葛藤してもいいんだ。悩んでいいんだって思わせてくれる、支えてくれるのがMOROHA。

恩学

 ロックよりもアイドルが流行してロック界の中でもポップスが聴かれる昨今。
 「本質」の文字が踊り、回りくどいプロセスより直接的な結論が喜ばれる昨今。

 “音楽より大切な人”である恋人や家族を“音楽で幸せにしたい”と目指す「恩学」を鳴らす、MOROHAのような熱く厚いユニットが流行るのだろうか?

日々日常を冒険にしよう
手垢や汚れ 擦り傷だらけの
わたしの全身を貫いたすべて
おなじ光や構図は二度とない
おなじ涙はもう流れない

はいチーズ って言われて何故だか
愛してる って言われた気がした
はいチーズ って言ったはずなのに
愛してる って言えた気がした

 どの曲聴いてもUKのギターが優しくてアフロの歌詞を際立たせる。
 だが今までのアーティストとは全然違う。人の数、ギターの感じ、本格的なラップ・歌のうまさじゃなくて語り掛け。

 だがMOROHAはより多くの人に届けたいと願う。

 とにかく大物になりたいんですよ。歴史に名を刻みたいんですよ。チヤホヤされたいっていうのももちろんある。

 新しい形態・新しいコンセプト・音じゃなくて見た目じゃなくて歌詞とラップで自分と向き合うための言葉を紡ぐMOROHA。

 本当はこういう魂だけで戦ってるアーティストに勝ってほしいと思っている。

 それでは!

おススメ音源

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